大学に入ると、周りの者が「なにか変な思想にかぶれている」ように感じられました。「あれを読め、これを読め」といってせかすのです。受験からの解放感も手伝って、せかされて手にした一冊が「三太郎の日記」です。
読んでいくうちに「三太郎」に託して語る著者、阿部次郎の内省が語られるのに新鮮さをおぼえました。三太郎は、自己を確立していく難しさを語ります。回りくどく、時に屈折している文章はみずみずしい感受性や、思索のなかで迷う阿部次郎の姿そのもののようです。
「何を与えるかは神様の問題である。与えられるものをいかに発見し、いかに実現すべきかは人間の問題である。」
「弱い者は自らを強くするの努力によって、最初から強い者よりも更に深く人生を経験することができるはずである。」
「弱者の戒むべきは、その弱さに耽溺することである。自らを強くするの要求を伴うかぎり、われらは決して自己の弱さを悲観する必要を見ない。」
この本は、「永遠の青春の書」として大正から昭和期の学生の必読書であったようですが、平成の学生にはどう受けとめられる内容なのかが気になります。最近この本を再び手にして、定年後の時間の余裕ということを感じつつ、読書にいそしんでいます。
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