学校を舞台にした小説も多く、その語り口のリアルさ、自然さに
先生方のあいだでも人気が高いのです。
どこにでもありそうな話が、氏のペンによって小説になるととて
も貴重でかけがえのない出来事に変わります。
中学生や高校生達が語る言葉にも本物が今ここにいるように
描かれます。
『その日のまえに』は新刊本のときから気になって読みたいと
思っていましたから、文庫本がでてすぐに手にしました。
愛する妻がこの世からいなくなる、それに備えるには、家族
が家族としていたわりあえる時間があまりにも少ない。
そんな日々が描かれます。子供たちが母の病気を知ってか
らの、日々が痛々しく、涙を抑えることが出来ません。
少しずつ、しかも主観的にも客観的にも考えられる広角な
思考を身に付けていく様子に感動もします。
人間誰しも与えられた命、自分の意志で生まれてきたので
はないから自分の意志で生きていくことはできない。まして
や自分の意志で死ぬことはもっとのほかである。
相田みつを氏がそのような作品をつくりましたが、
この小説には、生きている間の、生かされている命への目覚
めが主題として隠されているように感じられました。











